長岡樹林地帯
私が森を守りたいと思った理由
私は宇都宮市中戸祭で育ちました。夏になると空高く、雲雀(ひばり)が飛んでいて、友達とどこにいるか、
探しっこをしたものです。学校から帰ると、友達と田んぼの間を流れる小川で、真っ暗になるまで、ハヤやフ
ナなどの雑魚を釣ったものです。そして、仏舎利塔のある森でクワガタやカブト虫を探したものです。
しかし、その時の森や川や畑はなくなったり、姿を大きく変えてしまいました。
畑は大規模な住宅地になり、川はコンクリートで排水溝になり、そして森はどんどん少なくなってきました。
昔の面影はありません。今まではそういうことをあまり考えないで生きてきました。いや、考えるのをやめて
いたのです。
私一人の力で何ができるのか、そんなことを考えるよりも自分の生活を最優先に考えていたのです。
娘が野鳥に興味を持ち、家族で野鳥の会に入るようになって、自然というものを考えるようになりました。
森がないと野鳥は生きていけません。野鳥には何の責任もないのに、生活する場が失われてきています。
文句を言うこともできず、知らない間に数が少なくなっているようです。
人間は自然の中で生きてきた。自然と共生してきた。その自然を人間は自ら破壊してきた。
このままでは私たちが遊んだ森がなくなり、私たちが自然と楽しんだことを
今の子供たちや次の世代が体験することができなくなりつつあります。
森がなくなって、人間は生きていけるのでしょうか?
森がなくなれば、野鳥や虫がいなくなる。水がなくなる。二酸化炭素が増える。新鮮な空気がなくなる。・・・
いろいろな悪影響が考えられます。人体にも影響が出てくるのではないでしょうか?
そんな思いをしていたときに、「グリーントラストうつのみや」の活動を知り、微力ながら支援していきたいと考
えました。
当社で定期的に行う「ふれあいマーケット」(フリーマケット)の収益金の一部を 「グリーントラストうつのみ
や」に寄付させていただいております。ボランティア活動にも今後参加してまいりたいと考えています。
三沼 隆幸
ふれあいマーケット
グリーントラスト運動とは
緑を大切に考える市民一人ひとりがお金や知恵や労力を出し合って、身近な緑を買い取ったり、
保全のための契約をして、守り、つくり、育てて次代に伝えていこうという運動です
主な活動内容
1.緑地等保全契約
市域の残る身近な緑の環境を有する樹林地等で、保全の必要があると思われるものについて、
その 所有者の理解と協力を得て、保全契約を結び守っていく。
2.土地の確保
土地の取得以外に保全の方法がなく、またその保全が極めて重要なものについては
買収等により取得に努める。
3.保全契約地の管理と活用
ボタンティアグリープの活動計画により、継続的な維持管理を推進。
体験活動の実施と総合学習実践の場として、一般市民や小中学生の環境学習支援
4.対象樹林地の現況調査など
残そう! 今ある緑を
100年先の子ども達に。
財団法人 グリーントラストうつのみや |
2月の「ふれあいマーケット」の売上金の一部を寄付させていただいた(財)グリーントラスト
うつのみやの辻さんに取材にお伺いしました。
辻さんは以前ボランティア活動をしていた時に当財団の方に誘われたのがきっかけでこの仕事を
するようになったそうです。
今、叫ばれているCO2の削減の為に森を残すのも重要ですが、私は、子ども達に身近にある
雑木林を残してあげたいと思うのです。なぜなら、人間は昔、林を生活の糧として共存していました。
炭焼きや下草刈りなど、林の為、人間の為、林との文化を育んできたのです。
そういう文化も子どもたちに林と共に残してあげたいのです。
私は、「グリーントラスト」ってどんな意味?から始まり、だんだん森林が少なくってきている宇都宮の
現状をお聞きし、「100年先まで今ある緑を残したい!」と熱く語る辻さんのお話に感銘しました。
以下は、グリーントラストさんの紹介です。
当社でもボランティア活動に参加し、このかわら版でその様子をお伝えしたいと思います。
(財)グリーントラストうつのみやでは、『残そう! 今ある緑を』をスローガンに、
市民が身近に触れ合い親しむことのできる、緑豊かな環境を次代に伝えていこうという活動
(グリーントラスト運動)を推進しています。
保全活動地は5ヶ所あります。身近にある自然の中でおいしい空気を吸い、楽しみながら
里山の草刈りや動植物の観察などのボランティア活動をしています。
緑地保全活動に参加しませんか。初心者大歓迎です!!
保全活動地
1 鶴田沼緑地 ボランティアグループ名 『鶴田沼の自然を育てる会』
2 長岡樹林地 ボランティアグループ名 『長岡の森ワーキンググループ』
3 戸祭山緑地 ボランティアグループ名 『レッドパイン』
4 海道小北側樹林地 ボランティアグループ名 『海道の林づくりを楽しむ会』
5 五代三丁目樹林地 ボランティアグループ名 『五代の森を守る会』
※ボランティア活動等の詳細は、グリーントラストうつのみや事務局さんにお問い合わせ下さい。
財団法人グリーントラストうつのみや事務所 |
鶴田沼の自然を育てる会代表 |
(財)グリーントラストうつのみや様より紹介を頂きました「鶴田沼」の自然を守る代表の森島さんを
ご紹介いたします。奥様と19才になるみーちゃん(猫)と暮らされており、取材の前日まで奥様と
旅行を楽しむ自然を愛する心優しいご主人でした。ボランティア活動で小学生・中学生の子供達と
接するという森島さん、私たちの取材にも笑顔で答えて下さいました。
まずお聞きしたのは、ボランティアをされたきっかけでしたが自然が好きだから、ということでした。
鶴田沼が保全活動地に指定される時に自然観察をする呼びかけで集まった方たちでボランティア
グループを結成されたそうです。保全活動地の一つである鶴田沼緑地を維持・保全するために
週4日くらい落ち葉さらい、下草刈り、間伐をして会員の方と汗を流されているそうです。
その甲斐が有り絶滅種のハッチョウトンボ・ヘイケボタル・ミミカキソウ・モウセンゴケ等が復活した
そうです。森島さんの思いは、「50年前の鶴田沼の姿に戻したい!!」その当時は、山から薪を
取ってきて、それでご飯を炊き、お風呂を沸かすなど山がなくては生活ができないほどとても大事
にされていました。今は、ガス・電気のある生活でとても便利になりましたが、だからこそ昔の里山
を残していくことが大切なのだろうと思いました。そんな活動を見てとても嬉しいとご近所の85歳に
なるおばあちゃんから軍手・タオル・飲み物等の差し入れがあったそうです。なかなかその
おばちゃんのように感謝の気持ちを伝えられなくてもみんな同じ気持ちだろうと思いました。
鶴田沼がだんだん50年前の姿に戻っていると嬉しそうに話される森島さんにこちらまで嬉しい
気持ちになりました。帰りに鶴田沼を案内して頂きました。残念ながらハッチョウトンボは見られ
ませんでしたが、環状線からちょっと入った所にこんな静かで自然を感じるたたずまいにホット
しました。森島さんの「50年前の鶴田沼の姿に戻した!!」に納得です。(中山・安嶋)
読者のみなさん、観察に行ってみてはいかがですか?
次回は長岡樹林地の『森づくりワーキンググループ』様をご紹介いたします。
あたりまえにあった里山の姿を後世まで
ツツジが咲きキノコの生える明るい林に
長岡の森ワーキンググループ |
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今回(財)グリーントラストうつのみや様より紹介を頂きました『長岡の森 ワーキンググループ』様は、
5つある保全活動地の中で最初に活動を始められた団体です。
ちょうど活動日に現地を案内していただきながら、代表の村岡さんにお話をお伺いいたしました。
仏舎利塔に隣接する長岡公園の東側にある森が活動場所の長岡樹林地です。
10ヘクタールあるそのほとんどが石川権一さんという方の私有地で、長岡の自然を愛し、
環境を守るためにその大半の土地を保全契約地として提供されたそうです。もう亡くなられている
のですが、そんな思いを受け継いで活動をされているそうです。
普段、村岡さんは地質調査の仕事をされているそうですが、村岡さんは、仕事で山や森に入った時に
杉・檜の根っこが、真っ暗な中でまるで骸骨のように不気味に見え、間伐もされず、放置された山を
何とかしたいと思っていた時にちょうどボランティアの募集があり、それから活動を始められたとの
事です。
この長岡樹林地は、昔は長岡町松山と言われていたそうで、そこにある溜池も松山溜と言われていた
くらいに赤松がたくさん生えていたそうです。でも今は松くい虫などの被害に遭い赤松が少なくなっている
そうです。それを復元するために雑木林を伐り、赤松を残すようにしているとのことです。
太いコナラ等の木を伐ると日が射すようになり、ツツジ、山ユリが咲くようになります。また伐った根元
から新しい木が生えてきて、それは、どんぐりからよりも大きくなるのが早いそうです。
村岡さんがおっしゃっている長岡の森を普通の雑木林にするというのは、生まれたての木から、15~16年経った木までの様々な樹齢の木で覆われ、ツツジや山ユリが咲くような明るい雑木林にすることだそうです。 そんな活動を見て手伝ってくださるボランティアの方も少しずつ増えているそうです。みんな自然を残したいという気持ちは同じなんだと思いました。 平成14年には、伐採した木の移動に使う運搬車を収納するコブシ小屋が完成したそうです。この小屋は、桧の間伐材を利用して会員の方たちだけで建てたそうなのですが、とても素人が建てたようには思えないくらい立派にできていました。 トウキョウサンショウウオやカキツバタが見られる春先から初夏がお勧めだそうです。 でもこの季節、森の中を歩くだけでも風がとても心地よく感じられました。(中山・安嶋) |
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レッドパインという名前の由来は、レッド=赤、パイン=松という事だそうです。 リーダーの岡田喜三(きぞう)さんは、赤松の生えている戸祭山緑地(市有地)を散歩していて、ゴミが目立つことが気になったそうです。 毎年自宅から見える山桜がきれいなこの山が、ぜひ自然のまま子孫に残せるようにしようという思いで活動を始められたそうです。 自然のままというと、人が手を加えないでそのままでという風に思われがちですが、今のように便利な生活をする前は、人が山に行って木の枝を薪にしたり、落葉を集めたりして生活していたため、自然の法則が保たれていたそうです。 |
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レッドパインさんの活動により、今でも山百合が咲いていたり、ハルゼミが生息できる環境が維持されています。そのうち松茸が採れるかも♪ 東沼、西沼には宇都宮市の天然記念物トウキョウサンショウウオがいて、それを保護するために、今年も3千~4千匹のザリガニを退治したそうです!! 取材に当たっては、半袖にハイヒールという無謀な格好で行ってしまい、お名前もお伺いしませんでしたが、ご親切に手を引いて上まで誘導していただきまして、ありがとうございました!!次回はぜひジャージ姿で活動に参加したいと思います♪ (いがらし) |
「海道の林づくりを楽しむ会」 会長 諏訪秀夫さん | ![]() |
「里山再生に燃える男のブログ」も書かれていますので、是非ご覧になってください。
以下は、諏訪さんが里山づくりに対する思いを書かれた物です。 身近に存在する雑木林を、大人も子供も楽しめる所にしたい。動植物の多様性を取り戻せる林にしたい、と思った時、先人が作物を生産するために作りあげたコナラ、クヌギを主木にした雑木林が頭をよぎった。 |
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コナラやクヌギの雑木林は堆肥用の落ち葉だけでなく、20年前後育った木は、薪や炭として、又茸のホダ木などに利用できます。小枝も焚き付けになり、すべて無駄なく使えます。副産物として、茸、山菜、薬草などを手にすることができます。またそこは動植物にとっても住み心地の良い所でもありました。しかし生活様式が変わってしまった今、先人が作り上げた素晴らしい雑木林を再現しても、これから先、それだけでは雑木林(里山)が手入れされていく事は無いでしょう。そこで雑木林を大人には森林セラピー(森の自然が織りなす風景や香り、音色や肌触りなど、森の命や力を感ずることによって、私たちの心身に元気を取り戻させようとするもの)の場に、子供達には昆虫採集などをして遊べる所にする事を加味する事によって、里山の存在価値が見直されるのではないかと考えます。その為にどのような林にしたら良いのか、上の森(コナラ、クヌギなど)と下の森(山野草)の調和のとれた林を目指して、試行錯誤しながら里山づくりをしているところです。
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「五代の森を守る会」 会長 渡辺鉄男 様 |
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これからもこの住宅街にある貴重な森を残したいと会員や地域の方と一緒に活動するのがとても楽しみだそうです。 地域の自治会と協同で活動できる事は、とてもすばらしいと感じました。 これでグリーントラストさんの樹林地のご紹介は最後となりました。 いままで取材をさせていただいたボランティアの方の熱い思いにいつも頭の下がる思いです。 そんな思いがあるかぎり、きっと100年先まで今ある緑が残っていると思いました |
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グリーントラストうつのみや 里山再生に燃える男のブログ